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六ヶ所村通信 no.4六ヶ所村通信と題して、映画の製作過程をビデオレターのようにお届けすることにしました。映画を一本完成させるには長い期間が必要です。その間、状況も変化していきます。 私共はシナリオのない映画を作っておりますので、私自身も映画がいったいどこへ着地するのか解りません。そんな風に一見何気ないような日常に寄り添いながら作った、「六ヶ所村ラプソディー」を観て下さった方々が、自分自身の意志で様々なアクションをおこし始めました。それは私の予想を遙かに超えた規模であり、深さを持ったものでした。 映画が現実そのものに関わり、現実が動き始めたその瞬間を記録しようと再び、通信のかたちで皆様にお届けすることにしました。 今回の通信no.4 は2007年8月から2008年2月の終わりまでの取材スケッチです。 1.オープニング六ヶ所再処理工場や核燃サイクル計画をめぐって、映画の公開からこの方起きてきた様々な出来事を新聞記事をもとに振り返ります。映画公開の直後、再処理工場は最終試験段階にはいりました。 2.WAVEMENT2007年8月 再処理工場の事を知ったサーファーたちが六ヶ所をめざす旅に出ます。 鎌倉から六ヶ所に至る太平洋沿岸で地元のサーファーたちと交流し、地元の普通の人々とも対話をしてゆきます。プロサーファーの中村竜さんやミュージシャンのユカリシャスさんは現実に触れながら自分たちのスタンスを模索していきます。旅の最後に岩手県重茂の漁協に立ち寄り、重茂の漁民たちと全国的な署名活動をいっしょに展開する計画が提案されます。 3.上映会in千葉8月、千葉市で25歳の青年、山本さんが呼びかけた「六ヶ所村ラプソディー」の上映会が開催されました。六ヶ所にも実際出かけて行った山本さんは観客に自分が体験した六ヶ所を伝えます。映画の質疑で、観客の1人が、「あまり詳しく知らない山本さんがこうやって知らせようと、動いた、そこが素晴らしい」と感想を伝えます。山本さんは再処理に反対するのではなく反対すべきは自分のライフスタイルだと語ります。 4.花とハーブの里―訪問客菊川慶子さんが14年前から始めたチューリップ祭りは六ヶ所村の風物詩になっています。菊川さんは核燃に反対しつづけてきましたが、一方で核燃計画は着々と進んできました。映画の公開後、増え続ける訪問客の対応に追われる菊川さんに、この日、立命館大学の学生が直裁な質問を投げかけます。誰のために運動をしているのか?―と。 5.苫米地さんの苦悩十和田市で無農薬・有機でお米を13年間、作ってきた苫米地ヤス子さんはこの年、肥料も使わないでお米を作ってみました。収量が落ちてしまったのは前にも増して雑草が生い茂ったからです。隣の田んぼの農家は除草剤が楽だから田んぼにも入らなくなったと言います。放射能の事は理解されにくい、と苫米地さんは稲刈りをしながら来年もお米を作り続けるか悩んでいます。 6.臨界事故:避難訓練初めて、国が主催する避難訓練が10月24日に行われました。再処理工場で臨界事故と火災が起きたという想定です。経済産業省副大臣もヘリコプターでかけつけ、首相官邸ともテレビ電話でつながっています。しかし、対策本部は工場の間近。住民もマスクもつけずに工場のすぐそばにある避難所へとやってきます。 自衛隊の特別部隊は防毒マスクを持ってやってきました。東海村から来た内部被曝検査技師は、被曝量を正確に計るのは不可能といいます。一方、工場の真下にある尾鮫沼では微量とはいえ、放射性トリチウムの濃度が上がってきました。 7.あしたの森の若者たち花とハーブの里から車で5分、伐採された山林に植樹をしようと若者たちが歌を口ずさみながら集まってきました。07年春分の日に島根原発を起点に夏至までの3ヶ月間、六ヶ所まで植樹をしながら歩いたWALK9のメンバーたちです。これを主導した正木高志さんはここに木を植えることで人間たちが自然から学ぶことができるーと語ります。 カナダからセヴァン・スズキさんもやってきました。若者たちの明るい声が響き渡ります。 8.署名提出11月5日、岩手県重茂や「三陸の海を放射能汚染から守る岩手の会」、そしてサーファーたちが9万人以上の署名を集めて経済産業省に届けに来ました。これらの訴えにエネルギー庁の担当官は「希釈・拡散を前提に社会は成り立っている」と工場を支持する姿勢を崩しません。参議院議員の川田龍平さんは法律を変えなければいけない、と語ります。 9.苫米地さん、川口さんを訪ねる苫米地さんはこの日、奈良県に住む自然農を実践する川口由一さんを訪ねました。このまま放射能汚染を受けるお米を作り、子供たちに食べさせてもいいのか、と悩んだ末でした。川口さんはそんな苫米地さんを柔らかく受け止め、29年間耕さず、農薬も肥料も一切使っていない田んぼに案内します。そこには豊かに稲が実り、草が生い茂っていました・・・ 10.NO NUKES MORE HEARTS11月18日、東京日比谷野音で再処理に反対する若者達が自分たちの問題としてこのことを伝えたいと大きな集会を開きます。これまで反対運動を続けてきた人々に加えて様々な年代、様々な職業の普通の市民が会場を埋め、ミュージシャンSUGIZOさんらのメッセージに耳を傾けました。 11.六ヶ所村で生きる一方、再処理工場は本格稼働に向けて着々と試験を続けています。 工場内での点検要員の募集があり、雇用問題も解決されました。岡山建設の岡山勝廣会長は推進派も発信しなければ、と語ります。とまりクリーニングの小笠原聡さんは仕事があることの大切さを語りながら反対派のおかげでバランスがとれているのだ、対話もできると言います。 12.市民の声八戸に住む山内雅一さんは青森県庁へこの2年間陳情や申し入れを続けてきました。 この日は全量放出されるクリプトンの除去装置をつけてくれるように申し入れにやってきました。青森県の職員は 大量に出ても拡散して人間への影響は0.022ミリシーベルトとなるので問題はないという見解をこれまで同様繰り返します。その数字が持つ矛盾を山内さんたちは鋭くついていきます。やがて、職員たちは・・・ 2008年4月22日 鎌仲 ひとみ |